
こんにちは、一般人投資家の「いっぱん」です。
今回は「流動資産とネットキャッシュ比率」についてお話しします。
割安銘柄の見つけ方を、なるべくわかりやすくしていきますので、ぜひ最後までお付き合いください。
・シリーズ①はこちら(ROEとROA)
・シリーズ②はこちら(自己資本比率)
・シリーズ③はこちら(PERとPBR)
・シリーズ④はこちら(配当利回り・配当性向・増配期待)
・シリーズ⑤はこちら(時価総額と投資スタイル)
・シリーズ⑥はこちら(連続増配年数)
・シリーズ⑦はこちら(不正をした企業に投資しない)
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・シリーズ14はこちら(株式分割)
はじめに
本物の割安銘柄を見つけるためには、まず会社の財務を理解する必要があります。
ここで読むのをやめないでください😂
ざっと読んでいただくだけで問題ありません。
会社の財務を理解するうえで、まず知っておきたいのが「流動資産」と「固定資産」の違いです。
・流動資産とは
1年以内に現金化できる資産のことを指します。
代表的なものは、
- 現金・預金
- 売掛金
- 棚卸資産(在庫)
- 短期で売却できる有価証券
流動資産は、会社の資金繰りの余裕、不況時の耐久力を示す重要な項目です。
・固定資産とは
1年以上の長期間にわたって使用・保有する資産のことです。
代表例としては、
- 建物・土地
- 機械・設備
- ソフトウェア
- のれん
固定資産は、会社が将来お金を稼ぐための土台ですが、すぐに現金にできるわけではありません。
流動資産から読み解く低PBRの罠
割安株を探す際、よく使われる指標がPBR(株価純資産倍率)です。
PBRが1倍を下回ると、「会社の資産価値より株価が安い」と判断されがちですが、ここに落とし穴があります。
PBRは「資産の中身」を見ていないためです。
PBRの計算式は、「PBR = 株価 ÷ 1株当たり純資産(BPS)」ですが、
この1株当たり純資産には、
- 流動資産
- 固定資産
の両方が含まれています。
つまり、
- 古い設備
- 使われていない土地
- 減損リスクのあるのれん
こうした換金性の低い資産も、同じ「資産」として扱われます。
・低PBR=安全とは限らない
- 固定資産ばかりで流動資産が少ない
- 借金が多く資金繰りが厳しい
このような会社でも、PBRは低く見えることがあります。
流動資産と負債から算出するネットキャッシュ比率
低PBRの罠に騙されないために注目したいのが、ネットキャッシュ比率です。
ネットキャッシュ比率を算出するために、まずはネットキャッシュを算出します。
・ネットキャッシュ =(現金・預金+短期保有目的の有価証券)-有利子負債
※ネットキャッシュは、会社が実質的にどれだけ現金を持っているかを示します。
次に時価総額と比較します。
・ネットキャッシュ比率 =ネットキャッシュ ÷ 時価総額
この比率を見ることで、
- 株価に対して現金が多いか
- 借金体質かどうか
が一目でわかります。
ネットキャッシュ比率が高いと何が良いのか
ネットキャッシュ比率が高い会社には、次のような強みがあります。
倒産リスクが低い
現金が多く借金が少ないため、不況や業績悪化時にも耐えやすい。
株主還元の余地がある
- 増配
- 自社株買い
に回せるお金があるため、将来の株主還元に期待できます。
経営の自由度が高い
- 新規投資
- M&A
- 不況時の耐久
経営判断の選択肢が多いのも特徴です。
実際に会社の情報を見てみましょう
ここでは、実際の企業データを使って確認してみましょう。
ただし、前述した内容は初心者の方にはハードルが高いため、ここでは簡易版の算出方法をご紹介します。
ここで算出した「簡易版ネットキャッシュ比率」とPBRをあわせて見ることで、「本当に割安なのか」「財務的に安全なのか」が、より立体的に見えてきます。
ただし、この簡易版は算出式の性質上、時価総額の大きい企業や負債額の多くなる業種とは相性が悪いものとなります。時価総額の小さい銘柄から、割安なものを見つける際などには活用できるかと思います。
日本BS放送(9414)
・銘柄の基本情報:時価総額174億円、PER13.3倍、PBR0.72倍、配当利回り3.08%
PBRが1倍を下回っており、一見すると割安ですね。
詳細を見ていきましょう。※今回は「株探」を使用していきます。

⏫銘柄のページに移動し、「決算タブ」をクリックします。

⏫下の方にスクロールし、最新の決算短信を開きます。

⏫貸借対照表のページを開き、流動資産の合計額を確認します。

⏫次に、負債の合計額(流動負債+固定負債)を確認します。
流動資産合計額 16,925,644(千円)
負債合計額 2,417,634(千円)
流動資産合計額 − 負債合計額 = 14,508,010(千円)←「簡易版ネットキャッシュ」
これを時価総額174億円で割ると、約0.83(83%)となります。←「簡易版ネットキャッシュ比率」
この会社は時価総額に対して、83%の現金(現金に相当するもの)を保有しているということになります。業種などの違いもあるため、「何%以上が好ましい」とは一概に言えないのですが、この数値は安心感があり、割安だと言えるかと思います。
因みにこの会社は自己資本比率が90%を超えており、財務面についてはかなり安心感があります。
ただし、配当性向は約40%あるため、増配の期待値はそこまで高くないように思います。
株式市場全体が急落し、配当利回りが高くなるようなタイミングで買っておきたい銘柄ですね!
いくつかの企業について簡易版ネットキャッシュ比率を調べてみました(2026年1月18日現在)。
・ホンダ −84% ・トヨタ自動車 −34% ・三菱商事 −20% ・マクドナルド 4% ・東京エレクトロン 5% ・サンリオ 7% ・任天堂 15% ・東映アニメーション 16%
前述したとおり、時価総額が大きい企業や負債額の多くなる業種には、あまり役立たなそうです。
「同業種他社との比較」をするぐらいには使えそうでしょうか。
まとめ
PBRは便利な指標ですが、それだけで割安判断をするのは危険です。
特に重要なのは、
- 流動資産がしっかりあるか
- 借金に対して現金が多いか
という点です。
PBRが低い会社の中には「安い会社」と「危ない会社」があります。その違いを見分けるヒントが流動資産とネットキャッシュ比率なのです。
流動資産に目を向けることで、一歩レベルの高い投資判断ができるようになります。
本記事は、株式投資の考え方を紹介するものであり、特定の銘柄を推奨するものではありません。投資判断は、ご自身の判断と責任でお願いいたします。
本記事が、皆様の株式投資を考えるうえでの参考になれば幸いです。
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